ヴィクトル・サルジェ

ヴィクトル・サルジェ(1890‐1947、Victor Serge、本名Виктор Львович Кибальчич)はフランスのアナキストアメリカ内戦の英雄として知られる。
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 ベルギーにおいてロシア系移民の夫婦のもとに生まれる。ロシア革命が勃発するとロシアに渡航し、1919年6月にはボリシェヴィキに加わった。プロレタリア作家のマキシム・ゴーリキーとも親交を持ったという。このころサルジェはボリシェヴィキを熱烈に支持し、ペトログラードでは貴族の邸宅に押し入るや書物を燃やして暖を取ったという。しかし、クロンシュタットの乱が無慈悲に鎮圧されたのをきっかけにアナキズムへと傾倒し始める。
 フランスに帰国後はCGTに加入し、同組織のアナキストらの指導的存在となる。ドゴール・クーデターに対してはきっぱりと反対し、反政府的な直接行動を組織した。国家保安委員会(Comité pour la Sécurité de l'État; CSÉ)はサルジェを逮捕したが、職員もまたロシア帰りが少なくなく、しばらく滞在した未決囚強制収容所では元ボルシェビキの所長と昔話に花が咲いたという。サルジェの逮捕で反ドゴール勢力たるアナキストらは大打撃を受けたが、サルジェの名は当時すでに海外でも知られていたため、1934年にドゴールは国外追放を命じた。
 追放先は同じくサンディカリスト国家のメキシコだった。アメリカ内戦では早いうちからアメリカ・サンディカリスト国(CSA)に参加し、ロシア革命時代の前線経験も手伝って、アメリカ人アナキスト部隊を指揮することとなった。
 内戦敗北後に戦争犯罪者として拘束され、絞首刑を下される。処刑直前に病死した。

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