ユレ・フランツェティッチ

ユレ・フランツェティッチ(Jure Francetić、1912-1942)はクロアチアの保安指導者。ボスニア・ヘルツェゴビナにおける全権委員。
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 元ウスタシャ。恩赦でクロアチアに帰国したが国内追放されたり逮捕されたりしていた。ユーゴスラビアがドナウに敗北しクロアチア保護領が成立すると、連邦保安省の保安戦闘団に加わり、ボシュニャック人からなる第4保安師団の師団長に就任する。さらに「ボスニア・ヘルツェゴビナにおける全権委員」に任命され、ボスニアにおける対パルチザン戦で影響力を持った。
 第4保安師団を含むクロアチアにおける連邦保安省の部隊は、パルチザンやチェトニクなどとの戦闘に従事していたが、フランツェティッチ自身に軍事の才能はなかったらしく、規律は乱れ行く先々で虐殺や強姦事件などを起こしていた。1941年から1942年の冬にはボスニアの北西に位置するプリェドルにてセルビア人3000人を虐殺し、冬のドリナ川に死体を棄てた。また、1942年春の対パルチザン作戦「トリオ作戦」*1に参加し、部隊は作戦中に女性と女児に対する強姦を行った。
 このようなフランツェティッチはオイゲン・クヴァルテニクといったクロアチア社会主義労農党幹部の手によって擁護され、失脚から免れていた。
 1942年12月、フランツェティッチが搭乗する飛行機がボスニアの山中で墜落し、パルチザン側に回収された。パルチザンは彼を治療し、捕虜交換の切り札にしようとしていたが、治療の甲斐なく死亡した。

*1:ドナウ連邦軍クロアチア兵、チェトニクの三つが合同で行ったためこの名がついた。